技術資料①(用語について)

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変圧器( トランス) に関係する用語について

  1. 1変圧器とは

    変圧器とは、トランスとも呼ばれ、交流の電圧を変化させる電気機器です。
    英語で「Transformer =変化させるもの」を意味します。
    変圧器は、例えば、AC200V の電源にAC100V の電気機器を接続したい場合等に使用します。

  2. 2交流とは

    交流とはAC とも呼ばれ、電圧が時間とともに周期的に“ +,- ” に変化している電気のことです。
    身近では、部屋のコンセントがAC100V です。正確には、AC100Vrms(実効値)と表記します。
    AC100V の実際の瞬間の電圧は、約-141V から+141V まで時間と共に繰り返して変化しています。例えば、人の目では判別できませんが、白熱電球を高速カメラで見ると、明るくなったり暗くなったり点滅しています。

  3. 3実効値とは

    実効値とはrms と表記される記号で、抵抗の負荷に直流(DC)電圧を印加した時と同じ電力を消費する交流(AC)電圧のことをいいます。
    交流の電圧は、時間とともに変化しており、電流・電力も時間とともに変化しているため、直流のように一定の値に表現するようにしています。
    通常、AC100V と言えば、実効値として扱っています。

  4. 4直流とは

    直流とは DC とも呼ばれ、電圧が一定で方向が変化しない電流の流れのことです。身近では、乾電池 1.5V や車のバッテリー 12V の電気です。トランスで直流電圧を変化させることはできません。

  5. 5周波数とは

    周波数とは、交流電圧が周期的に “ +,- ” に変化している1秒あたりに変化する回数のことです。
    50Hz/60Hz(ヘルツ)と呼ばれており、1秒間に電圧が 50回 /60回変化しています。東日本は50Hz、西日本は60Hzになっています。例えば、モーターを使用した電気機器は、両地域で共通に使用できない場合があります。
    トランスの場合は、通常 50Hz/60Hz 共用で製作されていますが、60Hz 専用で製作された場合は 50Hz では使用できません。

  6. 6周期とは

    周期とは、交流電圧が周期的に “ +,- ” に変化している 1回あたりの時間のことです。
    周波数 50Hz の周期は、1秒を50回で割った時間= 0.02秒です。周波数 60Hz の周期は、1秒を 60回で割った時間=0.017 秒です。

  7. 7単相とは

    一般的な電気機器の電源で、2本の電線で電気を送ります。身近では、部屋のコンセントの電気は、単相です。

  8. 8三相とは

    工業用の電気機器の電源で、3本の電線で電気を送ります。各3本間の電線の交流の周期が 1/3ずつずれて、電気が流れています。
    身近では、高圧鉄塔や電柱の電線に見られます。メリットは、同じ容量の場合、単相に比べ電線に流れる電流が 1/√3倍(約0.58倍)に減少するため、電線を細くすることが可能です。

  9. 9単三とは

    単相三線式の電線方式で、3本の電線で電気を送ります。一般的な家庭につながれている電源で、単相 200Vの電気機器と単相 100Vの電気機器を同時に使用できます。
    3本の電線の両端で 200Vになり、真ん中の電線と各両端の電線間で各々 100Vになります。

  10. 10トランスの構造は

    トランスは、主に一次コイル(銅線)・二次コイル(銅線)・鉄心・混触防止板(銅板・オプション)・絶縁材で構成されています。

  11. 11混触防止板とは

    混触防止板とは、一次コイルと二次コイルの間に金属製の板(銅板)を設け、万一、トランス内部の故障、例えば、一次コイルと二次コイルの間の絶縁が低下した際に一次側の電圧を混触防止板を通して地絡させることにより、一次側の電圧が二次側に伝わらなくするために設けた安全構造です。

  12. 12シールド板(≡混触防止板)とは

    混触防止板をシールド板とも称しています。
    シールド板は、静電作用により、電源側又は負荷側から発生したノイズ(妨害電圧)の伝搬を低減させるものです。なお、ノイズ低減を目的としたトランスの場合は、専用のノイズ低減トランスが必要です。

  13. 13突入電流とは

    突入電流とは、変圧器に電源印加時、定格一次電流の約 30倍前後の瞬時に流れる大電流のことです。
    突入電流の値は、0.01秒時の電流値(実効値)で表し、ほぼ 1秒で減衰します。突入電流とは、変圧器の鉄心を磁化させるため、瞬時に流れる励磁電流です。
    突入電流の大きさは、トランス設計個々により異なり、また、電源印加時の交流電圧の印加タイミングによっても異なります。交流電圧 0Vでの印加のタイミングが、一番突入電流が大きくなります。
    なお、突入電流の値は、設計により小さくすることも可能です。但し、形状が大きくなります。
    また、内容は異なりますが通電開始時の大電流は、ほとんどの電気機器に存在しますので、トランス選定時には、注意が必要です。

  14. 14福田電機製作所のコイルモールドとは

    弊社のコイルモールドトランスは、巻線への塵埃等の進入防止を目的としたものです。
    巻線全体や、変圧器全体を堅いエポキシ樹脂で覆った構造のものとは、異なります。
    弊社のコイルモールドトランスは、乾式トランスの巻線端の上下部分にシリコーン樹脂、又はエポキシ樹脂を塗布したものです。

  15. 15磁束密度とは

    磁束密度とは、Bmとも呼ばれ、トランスの鉄心を磁化させる程度を表す数値です。
    トランスは、鉄心にコイルを巻いた構造をしており、コイルに電流を流すと鉄心が磁化します。
    一次コイルに交流の電流を流すと、鉄心は交流に磁化し、この磁化の変化に応じて二次コイルに交流の電圧が発生します。

  16. 16絶縁種とは

    トランスには、絶縁種と呼ばれる構成部材の絶縁材に対する耐熱クラスがあります。
    トランスの絶縁種は下表の5種類があり、相対的に、温度が低い程発熱量が小さいが形状が大きく、温度が高い程発熱量が大きいが形状は小さくなります。
    よって、トランスは形状・コスト等を考慮して、一般的に、容量の小さいトランスは温度が低い方の絶縁種を選択し、容量の大きいトランスは温度が高い方の絶縁種を選択しています。
    弊社では、容量・結線に応じて、最適な絶縁種を選定しています。

    耐熱クラス 許容最高温度(℃) 温度上昇限度(K)
    A 種 105 55
    E 種 120 70
    B 種 130 75
    F 種 155 95
    H 種 180 120

    JEC-2200 より抜粋